問合せの件数が多くなってきました。「前川さんに聞いて、その後何するわけではないけど、落ち着かなくて電話しました」と現状を受け止めるためのお電話であったり。「こんなに安くなった、安くなったと毎日言われれば買いたくなります」と新規投資を決断する機会にするためのお電話であったり。「おそらく前川さんが大変なことになっていると思ったから頑張っての声を掛けたくて」と応援の電話であったり。自分の投資であれば気持ちの整理はついていますが、さすがに環境がこんなに悪いと、さぞや多くの人が人に言えず悶々と不安に過ごされているだろうと、ただ落ち着かない気持ちにさせられます。
以前新興国株式の値上がりが華々しかった頃に、私の相談者の中にも「これからでも新興国株式への投資は大丈夫でしょうか?」という問合せが多くありました。私が余り乗り気ではない素振りを見せたので、大抵の方は「たとえ下落しても構わないんです。5年後、10年後、報われるまで我慢する覚悟です」と必至に訴えてきました。「だったら、後で買わなかったことを後悔しない程度の金額で投資したらいいんじゃないですか」と繰り返し返事をしました。
そして今です。5年、10年を覚悟して投資した新興国株式は無残な経過となりました。そして今、その投資の継続にくじけそうな人がたくさんいます。なかなかできないことですが、やはり割高なときに「5年、10年先まで我慢する覚悟で投資する」よりも、割安だけどまだ下がるかもしれない我慢の時期に、その覚悟を持って投資するほうが報われますよね。現在も新興国株式を持たれていて、今後に悩まれているのであれば、もう一度「目先の上下は構わない。5年、10年先の成長を期待したい」と覚悟があるかを確認してみる必要があります。「ここからさらに2割も、3割も下がったら、気持ちが折れてしまう」という方であれば、一部、もしくは解約も考えたほうがよいでしょう。価格の上下は今後もしばらく続くと想定されますから。
私が今相談者の方にお伝えしたい点は、「投資といかに付き合っていくか」、「価格の変動といかに付き合っていくか」という、投資との付き合い方です。当てにならない価格の予想よりも、こちらのほうが大事だと考えているからです。