今週の最大の関心事は米ビッグ3の救済案のその後がどうなっていくかの方向性です。11月に米ビッグ3首脳が救済を求めて公聴会で証言しましたが、当事者として余りに責任の自覚がない態度に、かえって世論の反感を買ってしまい、救済案の結論が12月に先送りされてしまいました。
確かに、米ビッグ3が破綻すれば、あれだけの規模の会社ですから、少なからず影響が出るでしょう。しかし多くの人の考えに「ビッグ3は大きくてつぶせないとは思う。しかし競争力の失った図体のでかい企業をいつまでも支えておけない。将来どこかで成長につながるものだけを残し、見込みのないものは切り捨てスリム化を図らなければならない日がくるだろう」と冷静な目も育ってきたと思います。GMやフォードが破綻リスクが高い投資不適格債になってから3年が経過したにもかかわらず、いまだに改善の方向性が見えていないわけですから。
そういう意味では、「ビッグ3は救済されるか」という視点だけではなく、「もしビッグ3を救済しないという結論が出た場合、どんな、そしてどれほどの傷みがあり、それを和らげるためにどんな方策が考えられるのか」という事後の対応の現実的な把握が大切になるという視点も大事だと思います。
もしかしたら、「無理して存続させるよりも、こんなことなら、もっと早く決断すべきだった」と不安が解消された上に、前向きな見方が見えてくる可能性もあります。
現在の相場環境が割安だという感触をみんなが持っているのに、今ひとつ投資期待が盛り上がらないのは、最悪の状態の絵が描けないことにあります。底が確認できないところにあります。
本来は政治から「国民の皆様を不安にさせ、非常に迷惑をかけていますが、ここまではこらえてください」という「最悪の事態を明確に示す」メッセージが欲しいところですが、そんなことは望んでも仕方がないことなので、自分で最悪の状態をイメージして、受け止める努力が必要なのだと私は考えています。「やられても、ここまでか。で?今できることは何か」と最悪を受け止めてどうすべきかと考えていきたいと思います。