売り上げの伸びていない会社は買えないね。あれれっ??

 「売り上げが伸びていれば、いずれ利益はのってくるはずだ」と、足下での利益は出ていなくても成長性の高さが魅力で新興企業の株価に上昇が期待されます。利益がそこそこあっても、売り上げが伸び悩んでいる企業は、「良い会社なのに株価が常に割安だ」と万年割安株と皮肉を言われたりします。
 新興企業ではなく、老舗「加ト吉」で売り上げを水増しする、いわゆる「循環取引」の調査結果が出て、創業社長が引責辞任になりました。循環取引は、IT業界で横行していると言われている取引で、複数の取引先と実際の商品を動かさず帳簿上で商品の所有権だけを動かし、最終的に所有権が元の取引先に戻る取引です。こうした取引が2002年3月から2007年3月までの6年間で総額984億円あったそうです。加ト吉の年間売り上げは2007年予想では3600億円。ここ最近は毎年200〜300億円の売り上げ増の動きでした。「売り上げを継続的に増やさなければならない」というプレッシャーが相当かかっていたのでしょうか。
 しかし投資家にとってはショックな話です。「利益は出ていないけど、売り上げが伸びていて、将来が楽しみな会社」と思って応援していたのに、売り上げがお化粧であったなんて。
 破綻が噂される会社に共通するのは、「何でそんなに売り上げが立つのだろう。何で利益があがっているんだろう」と、実体が見えないけど羽振りが良く見えた会社です。私が新興企業株への個別投資に消極的な理由は、いくらビジネスモデルを聞いても、「何が利益の源泉なのか」の理解できないことが多いからです。
 ある新興企業の広報担当の話で「この会社はおもしろい会社になるな」と感じたのは、その人のこんな言葉でした。
「私の会社が目指すのは、笑ってしまうほどわかりやすい仕事にすることです」。わかりやすいとは働きやすいということにもつながります。この会社は軽作業から会社を大きくしていった会社でした。
 新興株の不信をぬぐうには、「投資家が何を不信に思っているのか」に関心を持ち、企業側が積極的に情報を開示していくことが大事だと思います。これだけ株価が下がると、妥当な株価水準をはかる確かな判断基準を持てなければ、投資家が新規投資に尻込みするのは当然です。