もらえないよりは、もらえる方がうれしい。高いよりは、安い方が良い。
しかし、それよりも投資で大事なことはサービスの質が守られ、安心して継続的な取引が出来ることです。突然「あのサービスは打ち切りになりました」とか、「うちは今月限りで店を閉じます」とか一方的に言われるところとの取引は、たとえ取引前に粗品がもらえても、多少手数料が安くても、躊躇します。
松井証券は9月から実施している無期限信用取引の手数料無料化を撤回し、12月4日から9月以前の手数料体系に戻すと発表しました。手数料を無料にする一方、信用取引の金利を引き上げることで、顧客が増えて残高が増えれば金利収入が増えて見合うと想定していたのですが、思ったほど残高が増えなかったためです。
今回はサービスの打ち切りですから投資家に大きな影響はないと思いますが、「儲かると思ったからやってみた」とか、「他社との差別化で、何かおまけをつけないと顧客がよってこないからやってみた」とか、場当たり的な発想で投資のサービスを始め、だめだったら、すぐ撤退という姿勢は、関わった投資家に迷惑をかける元です。
「他行もやっているから投資信託、変額個人年金を始めたけど、やっぱりうちの顧客層では知れていて、今はほとんど売ってません」。こうなると、信じて託した投資家は、その後はほったらかしに。投資は始めたら終わりではなく、始めた後のケアが大事なはずなのに。
投資する先を選ぶときには、粗品など投資以外のことで釣るところ、手数料が安すぎるところ、もしくは無料を強調するところは注意しましょう。そこは長くつきあえそうなところですか。「手数料が安ければサービスの質を求める方がおかしい」と割り切って付き合える方であれば問題ないのですが。
投資の案内をするところは、安売りに腐心するよりも、顧客の目的にあった商品選びをサポートする本業で勝負しましょうよ。