マツモトキヨシのCM、「何でも欲しがるマミちゃんは・・♪♪」。既存証券会社のアドバイス内容に見合わない高い固定手数料を真っ正面から非難し、手数料自由化を訴えた「松井証券」が、ザ・ギンコウのメガバンク「三菱UFJ」と出資交渉をしているとのこと。既に三菱UFJの系列には「カブドットコム証券」があり、将来の統合も視野に入っているという見方も出ています。
「松井証券」と「カブドットコム証券」は、正に競合会社。この2つを統合することで、どんな会社が出来上がるのでしょうか。松井証券は個性的な松井社長あっての会社。あの格式を重んじる三菱UFJの系列に入っても、変わらず自由な立場で発言できるのでしょうか。そもそも松井証券は失礼ながら、以前の輝きがもはやありません。それはイコールワンマン社長の松井氏のカリスマ性に陰りが出ているとも言えるかも知れません。その特長が薄くなった松井証券の市場価値を、三菱UFJは今後高めていける戦略があるのでしょうか。
運用会社が別の優秀な運用会社を合併吸収することがありますが、このとき2つのパターンに分かれます。吸収したけれども、組織に口は出さず従来通りの運用環境の整備に心がけるところ。この場合人材は残ります。もう一つは、吸収した側の方針を守ることが前提で、吸収された側の社員は窮屈になり、優秀な人材は外に飛び出してしまい、この場合期待された今まで通りの運用を続けられなくなってしまうことがあります。
「松井証券」と「カブドットコム証券」が統合されることが決まったわけではありませんが、もしそうなった場合、両社の社員は統合することで新たに出来ることとして、どんなことがあるのか、イメージできるでしょうか?
ただ単に大会社である三菱UFJの傘下に入り、身分の保障がなされて個人として安心ということだけでは、株主メリットがありません。消費者金融とのタイアップのように、組み込むことで消費者金融がただ単に「銀行化」しただけ、ということになりはしないでしょうか。金融機関にだんだん特徴が無くなり、同じに見えてしまうことは、選ぶ方としては不自由な話です。