現在、生損保の会社では保険不払いの調査で仕事にならないほど混乱していると聞きます。本日の報道では、大手生保の第一生命が入院前後の通院費を保障する「通院特約」の販売を停止するとありました。契約者は退院時に入院給付の請求はするけど、入院前後の通院給付金も受け取れることに気づかず、請求しない例が多く、大手4社だけでも支払い漏れの可能性がある契約が数十万件あるらしいのです。そこで第一生命は保険金を適切に支払うための体制を整えるため、商品性に問題があると思われる「通院特約」の販売停止に踏み切るとのことでした。
条件とか、特約とか、一つぐらいのケースであればまだいいのですが、不慣れな商品で複数の条件や特約がついていると、専門の人のアドバイスがないと見逃しが多くなりますね。お金が絡む契約は、保険でも金融商品でもローンでも単純、シンプルなものがいいです。最悪なのは案内している人自体が商品を理解せずに売ってしまうこと。これでは見逃しがあって当然です。これは販売する以前の問題ですね。
今年10月に民営化が始まる郵政グループでは、カード事業やローン事業、来春には変額年金にも参入するとか。郵政グループも普通の金融機関の仲間入り。郵政グループは後発で参入するわけですから、今更普通の金融機関をまねして品揃えを増やすことに一生懸命になるよりも、既存金融機関とは異なる特徴を意識すべきだと思うのですが。郵政グループが普通の金融機関としてただひとつ増えたところで、何も変わりません。
品揃えを増やす前に、現在できることでこれからも貯金者のために守らなければならない大事なことは何で、現在できないことでできると貯金者のためになるものは何か、の検討は十分なのでしょうか。今回の品揃えはそのために必要なものなのでしょうか。
それよりもむしろ、現在の郵便局を信頼して個人向け国債や投信を購入していただいた貯金者のフォローを意識して、彼ら、彼女らの、「喜ぶ声」の輪を広げていくことの方が重要ではないでしょうか。売れ筋の金融商品を揃え、他よりもいち早く多く売ることを意識した、右から左へつなぐだけのやり方では、ただの金融機関から抜け出せないと思います。