本日日経朝刊で、英ファンド「コラー」が期待してM&Aの投資したけど芳しくない状態になっている企業やファンドを割安に買い取るという記事がありました。買ったときはバラ色で「長期投資で持つぞ」と意気盛んに投資したものの、現在のように先行き不透明な状態でいつ好転するかも分からない、しかもかなりの評価損が発生していると、サラリーマンの担当者であれば「今後どうなるんだ。どうするんだ」と上司の責めに合い針のむしろの毎日。売ろうにも買ってくれるところはない。どうしようと途方に暮れていることは想像に難くない。そこで「何だったら買いますよ」と現れた英ファンド。いろいろなところから持ち込みが殺到しているかも知れません。「売りたい」、「買いたい」が自由に出合う市場の前提条件は、割安な状態になれば必ず投資家が存在することです。それが、M&Aの国内マーケットにはなかった。それが、この英ファンドの登場で割安だったら買うという参加者が増えることで、市場が整備される期待がされています。
思い起こせば、2003年頃の不動産市場とタブリます。あの当時、不良債権にあえぐ金融機関、企業は不良資産となった不動産の処分に困り切っていました。そこにモルガンスタンレーやゴールドマンサックスなど、欧米の投資家が買い手として名乗りを上げ、相当買いたたいて手に入れ、おいしい利益を上げました。これを見ていた日本人が「こんなうまい話をとられ放しでいいのか」と日本人の参加者が増え、不動産価値は割安から妥当値、一部は割高になるまで、活況になりました。
M&Aの市場がこういう流れに乗っていける市場になるか、注目です。
同様にリートも同様な動きになるのではないでしょうか。以前に大手リート関係者が「こんな割高に落札した不動産が採算に乗るわけがない。いずれ困って処分に動くことになるだろう。そのとき、じっくり値定めをして買えばいい。だから今は敢えて割高を追ってまで買わない」と話していたと聞きました。
海のものとも山のものともわからない物件を、取り敢えず買わなくちゃファンドの運用が始まらないと夢を持って始めたファンド。玉石混淆のファンドから、まがいものが淘汰され、玉のファンドが全体のレベルを引き上げていく。そんな正常化に向けた相場の急変なら、長い目で見れば好感するべきではないでしょうか。ますます運用は人任せではなく、自分で投資判断をするものという意識が大事なってきました。