不確実性が高まる株式相場に向き合うコツ
最近、メディアがマーケット動向を解説する際、「不確実性が高まっている」とコメントすることが増えています。将来の出来事や結果を予測することが難しくなっているためです。
この不確実性への懸念から、「米国株1強」と見られた米国株式マーケットは、トランプ大統領就任後の2月19日にS&P500種株価指数が6,144.15の最高値を記録した後、3月13日には5,500程度まで下落し、米国株式市場は調整局面に入りました。さらに10%程度の下落を予想する弱気な見方も出ています。こうした環境下で、どのように投資に取り組むべきかを考えてみましょう。
株価水準で変化する投資家心理
投資の格言に「人の裏に道あり花の山」があります。これは「投資は人と同じ行動をとっていては成果が上がらない」という意味です。
株式相場は、①高値圏だけど値上がり期待が高い時期、②高値から1割程度値下がりし押し目買いが増える時期、③高値から2割、3割と下がり、先行きの株価を心配する人が増える時期、④大きく値下がりして、少し位上がっても多くの人は大きな評価損を抱えている辛抱のいるボックス圏、⑤やっと値上がり基調になり、やれやれの売りを考える人が増える時期があり、経験則では、⑤から新たな①の循環を迎えます。
大きな成果をあげるのが割安な時期に投資することなのであれば、⑤の時期に投資するのが効率的で、逆に、割高な①や②の時期での投資は避けるべきです。
しかし現実は、①や②で投資を行う人が多く、④や⑤で投資を実行している人は少ないのが実態です。
多くの人が、「人の裏に道あり花の山」という格言に反して、人と同じ行動をとってしまいがちだからです。
投資の動機として「出遅れてしまった」という焦りが挙げられます。①の時期には「儲かった」という話が増え、「今からでも遅くないか」という相談が多く寄せられます。
この時期には、すでに投資している人は「もっと高く売れる」と売却を躊躇します。また、「今しかない」という思いから新たに買う人が増え、買い手が売り手よりも多くなり、価格が上昇しやすくなります。
投資後すぐに値上がりすると気分が良くなり、保有者は売却を控える一方で、新たに買う人が増え、「上がるから買う、買うから上がる」とブームが起こり、さらに参加者が増えていくのです。
10%程度値下がりした②の時期には、割安感が出てくるため、今まで買うタイミングを逃した人から「これから買っても大丈夫か」という相談が増えます。
さらに価格が下落した③の時期に入ると、「なぜあんな高い時期に投資をしたのか」と後悔し、日々増え続ける評価損に耐え切れなくなり、投資への関心を失う人が増えます。
④の時期には「損した」との声が多く、「投資は損をするもの」という認識が広まり、新規投資が減少します。その結果、多少値上がりしても長続きせずに下落し、ボックス相場に入ります。この相場は長ければ4~5年続くことがあります。
しかし、投資への関心が薄れた④の時期こそが、実は投資の大チャンスなのです。にもかかわらず、④の時期に投資をする人が少ない理由として、この時期特有の高金利や円高、リスク資産に大きな含み損があり買付が困難な状況などが挙げられます。
ボックス相場を活かす運用方法
下がり続ける相場はなく、いずれ価格は回復し、投資する人が増えて再び⑤→①の時期が訪れます。
④の時期は、割安だと判断し投資してもなかなか値上がりしづらく、辛抱強さが求められる時期です。
多くの人は、「もっと安い機会があるはず」と一番安いタイミングで投資しようとこだわりすぎて、結果的にタイミングを逃し、「あんなにチャンスがあったのに」と後悔する例は珍しくありません。
そこで、将来的に訪れるであろうチャンスの時期④(ボックス圏)での対応方法をご案内します。
まず、株価が安い時期は金利が高いことが多いので、値上がり益を期待せず、安定した高利回りが期待できるものを主として選ぶのがよいでしょう。1年経過後の売却であれば元本割れをしない「個人向け国債」に投資することで、割安な対象を見つけた際にこれを売却して投資資金として活用することも可能です。
また、円高の場合は為替差益を狙えるチャンスですので、外貨建ての高利回り商品を検討するのも有効です。
将来価格が上昇すると思える個別株や投資信託があるけど投資するタイミングに悩んでいる人は、10年放置するつもりで積み立て投資を行う方法がお勧めです。積み立て投資はボックス圏での投資チャンスを逃さない確実な手段だからです。