昨日は10年国債利回りが前日比で0.165%も一気に上昇しました。通常であれば前日比で0.01〜0.02%の上下幅ですから、正に異常事態が発生しました。リスクに臆病になった資金が安全資産に逃げ込み、更に「株は下げる」という投機的な見込みから「株売り債券買い」を仕掛けた投資家たちが、最近の株高・ドル高の流れで手じまいや踏みを余儀なくされて、異常に割安まで売られたもの、逆に異常に割高まで買われたものが妥当値に戻ろうとする表れだと考えます。
しかもシカゴの日経平均株価先物の値は一時14000円台に乗せ、引値も13960円と、来週も相場の堅調を期待させる結果でした。
これまで割安を信じて日本株に投資してきた人はどんなパフォーマンスになってきたでしょうか?人によっては「全体の損はやっとトントンぐらい。個別銘柄ではもう少し上がれば利益確定しても良いかなあと思う水準まできたものもある」という感想ではないでしょうか?そして、15000円の水準になったらどうでしょうか?おそらくその時には、下値を心配する人よりも、買えなかったことを後悔する人の方が多くなっているのではないでしょうか?それぐらい、13000円と14000円では景色が変わりますし、15000円では全く違うものになってしまいます。
そこで投資を考える人は、今こそ「妥当水準」を意識してください。もし「妥当水準」よりも現在の株価が低く、まだ割安だと思うなら、過去につけた安い株価は忘れて、投資対象のひとつとして注目しましょう。逆にすでに妥当価格水準に戻ってしまった株式は引きずることは止めて、再び割安になる機会を待ちましょう。異常な株価や為替の水準を参考にしても意味がありません。現在の妥当水準をベースにして考えましょう。
どうしても株式相場が華やいでくると株価ばかりに目が向きがちですが、国債利回りが妥当水準である1.6%台に戻ってきましたので、債券など確定金利ものにも投資妙味が出てきました。今後の金利動向にも注目していただきたいと思います。
「目先どこまで下がるのか?」から「目先どこまで上がるのか?」とムードの転換がありそうですが、目先のことに振り回されず、「妥当水準なのか?割安なのか?」の目を忘れないでください。くれぐれも「割高」なものに投資してはだめですよ。まだ現在は、石が玉に見えるバラ色の相場とはかけ離れた病み上がりの状況ですから。