ここまで市場が駄々をこねてしまうと、中途半端ななだめはかえって状況を悪化させてしまいます。いくら中央銀行が金融機関に資金供給を厚くしても、その金融機関が共倒れを嫌って、資金をパスせずに抱き込んでは金詰りはいつになっても解消しません。金融機関は相手金融機関を疑っているわけですから、?信用できない相手を淘汰し、信用できるものだけに絞り込むか、?信用できる金融機関にするために資本注入して健全にするか、?役割を果たしていない金融機関は期待せず無視して、直接中央銀行・政府が資金を必要とする企業や個人に資金を届ける仕組みをつけるしかありません。
米国は大統領選挙を控えて細かな対応まで困難になっていますので、その間をつなぐ意味で、今回、英国政府が行った大手八行への資本注入は危機感への対応として意味があります。できれば、米国が金融安定化法案を早期可決した時期に合わせられたら、もっと良かったと思いますが。
この期に及んでは、世界主要中央銀行が協調利下げをしたところで、ひとつイベントになってしまいサプライズにはなりません。もうそんなサプライズ狙いのテクニックで何とかなる段階は過ぎ、?、?、?の実行をタンタンと行い、「金融の目詰まり解消」を市場が実感できる対応しか残されていないと思います。金融が安定して、資金繰りに不安がなくなれば、投資したい案件は山のようにあります。お金はないわけではなく、滞っている状態です。「お金の必要なところにお金を流す」、それを仲介しているところが壊れているのが問題です。米国政府の資本注入は必至です。
「どのタイミングで、どんなルールで行うのか」。
昨日、毎月書いているレポートに「日本株に悲観し過ぎていないか」という内容を書きました。先週の金曜日の時点で、トヨタ自動車の株価をひとつの例としてあげ、「解散価値である一株純資産3700円程度は売られすぎだろう」と債券投資との比較で書きました。ところが昨日株価はいきなり3280円まで急落しています。あえて、このレポートの書き直しせず、今後の動向に注目したいと思います。トヨタのような企業が成長性のプレミアムが評価されず、しかも解散価値を大きく下回る、「企業を解散して、お金を返してもらった方がよい」という評価が妥当なのでしょうか?
「何で投資家は評価してくれないのかなあ。こんなに安くなったのに。だったら自分で買うかあ」ともっと、もっと、資金力のあるところは下手な投資をせずに「自社株買い」に回したらよいと思います。