各国ともに政府頼みですが、お金を融通する仕組みが少しずつ出来てきて、調達にメドが立ちそうなところが少しずつ増えてきたように思います。
これまでは本来優良だった借入者でも、新たな資金調達が難しい状態が続いていました。
「利息をきっちり返してきたのに・・・。急に元本を返せと言われても無茶だよ」
予定通り利息を払い期日にはきっちり元本を返せるだろう先にまで、突然「元本を返せ」と貸しはがしにあえば、優良で善良な借入者だって破綻します。
貸している金融機関は自分の生き残りをかけて、けっこう無茶な貸しはがしが横行していたという話も聞きました。それが政府の融通する仕組みによって、まず金融機関に安堵感が広がり、その先の企業や個人にも広がっていきそうな期待が出てきました。
今回の金融危機で、日本人の資産をいためつけた要因は、「貸したお金が返ってこないかも知れない」信用リスクと為替円の独歩高で大きく目減りした外貨資産です。
この二つの要因はまだ楽観する時期に入ったわけではありませんが、「あんなに神経質になる必要はなかったかも」という見方が出始めていて、為替は自立反発で少し円安基調に転化し、株式は解散価値を取り戻す動きとなりました。
個人的には、信用リスク、為替リスクで割安に振れた価値は妥当価値に向けて振り子が戻る過程であり、現在の水準が割安感が無くなり、割高になったという印象を持っていません。
株価が下落、為替が円高。こうした場面では、信用リスクと為替リスクがリターンに見合うものかと検証しながら、投資判断を重ね、下値が固い印象が残る相場展開が、もう一ヶ月ぐらいは続くのではないかと想定しています。くれぐれも私の主観です。
5月の株暴落、ドル暴落を予想し、再び相場の底割れを声高に唱える専門家がめっきり減ってしまいましたが、今こそ、そういう専門家には「今をどう受け止めて、今後をどう想定しているのか」を丁寧に考え方を聞かせてもらいたいものです。その中には、冷静で今後の相場展開を推し量る参考材料が見つけられると思います。「こういうシグナルがあったら、相場の転換を迎えるかも知れない」という話があれば、じっくり耳を傾けて聞きたいですね。
私たちが今回の相場で学んだ大事なこと。「大きく儲けることよりも大きく損をしないこと」。